【舞台挨拶】9月20日(土)公開『柘榴坂の仇討』

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左から順に、阿部寛・中井貴一・若松節朗監督

浅田文学の最高峰、待望の完全映画化!

人気作家の浅田次郎の『五郎治殿御始末』の中でも名作の一編「柘榴坂の仇討」がスクリーンに登場。
監督は、心打つ人間ドラマをこまやかに描く手腕で名高い若松節朗。
主人公・志村金吾は中井貴一、そして金吾の仇である水戸浪士・佐橋十兵衛は阿部寛が演じる。
「今、日本人としてどう生きるか」を見事に提示する作品がここに誕生した。

9月20日の公開に先駆け、8月27日、なんばパークスシネマにおいて、主演の中井貴一(52)、阿部寛(50)、若松節朗監督が登壇した舞台挨拶を開催。

ITOMA本誌には掲載しきれなかった舞台挨拶をご紹介いたします!

―それでは、順にご挨拶をいただいてまいります。

中井さん:本日はお越しくださいましてありがとうございます。
たいがい、このような試写会は無料で行われるそうなのですが、今回は有料だそうで…(笑)
本当に心から感謝しております。お金を払った以上は言いたいことは言ってください。
でも、あんまり悪いことは言わないでください(笑)
今年の1月、2月に京都で約1か月半ほど撮影をしました。
最近は時代劇というと、どうしてもアクションだったりとか、そういう風な方に目がいきがちですが、
真正面から日本人の魂をみんなで演じたつもりです。
みなさんの目にどう映るか、今から楽しみにしております。今日はありがとうございます。

阿部さん:みなさん、今日はお越しくださいましてありがとうございます。
僕も久しぶりの時代劇だったんですけれども、人間を描いていく作品を、
貴一さんとやれたことが、自分の財産になったと思っています。
若松監督とは、以前に作品に何度か出演させて頂いて、本当に男気のある監督だと思います。
このメンバーでこの作品をできたことが、僕のなかではすごく大事なものになったと思いますし、
素晴らしい作品ができあがったと思います。
…まだ見てないですよね(笑)
それぞれ色んな考えで見て頂くと思いますが、必ず日本人にとってすごく素晴らしいものがあると信じております。
ぜひ楽しんでください。

監督:今日はありがとうございます。
名優といいシナリオをもらうと、監督は何もしなくていいんですけれども、まさにその通りで。
名優の常にひたむきな中井さん、そして、いい意味でとても愚直な阿部さん。
この二人を僕はいただきまして、とてもいい温かい日本映画ができたと思います。
サスペンス感もたっぷりあります。どうぞ、みなさまお楽しみにおねがいします。

―では、映画のお話を伺おうかと思うのですが、みなさまご覧になられる前なので、
あまりネタバレさせられないのが、とっても残念なのですが…。
まず中井さん。志村金吾という役柄のお話をお聞きになったとき、率直にどう思われましたか?

中井さん:そうですね。時代劇が不振だ、といわれている最中、何の飛び道具もない、
本当の心を描く時代劇をやろうと思われたプロデューサーに心から敬意を表しました。
自分の役柄とかいう以前に、ハリウッド映画に僕たち世代も侵されていて、
ある種エンターテイメントだっていう風になっていたんですけれども、
日本映画のもつ心を描くとか、そういうものを、
まず最初に自分が忘れていたんじゃないかなと思って、すごく反省しました。

―やっぱり、日本人はこうゆうお話がすごく心に染みるんですよね。

中井さん:自分たちの代々受け継がれていくDNAの中に何か入っているんでしょうね。
だから、役を作っていく上でも作りやすかったです。
やっぱり、時代は違っても共通する部分はありますから。

―さて、阿部寛さんは、佐橋十兵衛の役をお聞きになられたときはいかかでしたか?

阿部さん:貴一さん演じる、金吾の存在に13年間追われ続けるんですよね。
で、以前ドラマの撮影で貴一さんとご一緒したときに、貴一さんが遺体の役で、僕が刑事の役だったんですけれども、
僕は貴一さんとそのワンシーンでしか会うことができなくって…。
シーン的には、お父さんが死んでる姿に最期別れを告げるという、感じだったんですけど。
貴一さんの初日だったから、僕はご挨拶しようと思ったら、なかなか来なかったんですね。
もう撮影が始まります、ってなって、貴一さんまだいらっしゃらないですよ、って言ったら、もう現場に入られてますって。
真っ白なものを被ってそのまま。だけど、これは冗談じゃなく!
貴一さんはやっぱり覚悟を決めてこられる方なんでね。
やっぱり、人間の死にあうってショックじゃないですか。
だから、この貴一さんの心遣いというか、これはすごく役者としては、すごくありがたかったですね。

―そうなんですね。

阿部さん:で、今回、僕は貴一さんに追われている役なので、現場でなるべく見つからないように、
絶対会わないようにしたいと思いますって言って、2ヶ月前くらいにお会いしたときに言ったんですよ。
で、その覚悟で行ったら、初日からトイレで会ってしまって、メイクもずっと毎日隣だったという(笑)

中井さん:基本的にこんなに大きい人が見つからないわけないんですよ(笑)
最初トイレ入ると、歯を磨いてる阿部さんが居て。
会わないようにしようって言ってたのに、めっちゃやなところで会ったな、と思って。

阿部さん:トイレっていう一番生活感が溢れるところでね(笑)

―そうなんですね。でも、監督。このお二人は撮影中はピリピリした様子とかなかったですか?

監督:以前、この製作発表でお二人は敵同士なんでなかなか話をしないってゆうのに付け加えて、
ちょっと言ったことがネットで炎上しましてですね…。
多くは語れないんですけれども…。

中井さん:いいですよ、どうぞ(笑)

監督:おお、いいですか!では(笑)
中井さんはね、某テレビ局できょんきょんとチャラチャラやってるわけですよ。
で、阿部さんは裸になってローマから出てきた男ですよ。
こういう人たちがね、現場に入るとがらりとやっぱり変わるんですよ。
緊張感たっぷりに、我々スタッフにプレッシャーをかけるわけですよ。
たぶんそうゆうものも映像にしっかり出てると思います。
まあ、そういうのはうれしくもあり、苦しくもあり、そういう現場でした。

―ただ、中井さん。先ほども仰っていただいたのですが、
1月、2月京都と滋賀で撮影されてますけど、寒かったでしょうね。

中井さん:今年の一月二月は特に寒かったです。雪が多かったんですよね。
全編わりと、雪のシーンが多いので、撮影中止になることはなかったんですけれども、
でも、よくお客さんは思われるんですよね。
雨の撮影のときに、雨でよかったですね、って。
でも、あれ僕たち撮影がないときに逃げる場所がなくなるんですよ。
だから、撮影する側にとっては大変なんですけど、今回雪が降ってくれて、臨場感は出てると思います。

―そうなんですね。たとえば、撮影の休憩の時間だとか、休みの日だとか、
京都でお休みのときに美味しいものを食べたとかそんな風なエピソードはありますか?

中井さん:全く無いです。あの、やっぱね、一日終わるじゃないですか。
完全燃焼しちゃうんですよ。
よく、東京で皇居の周りをね、仕事終わったサラリーマンがものすごい数ランニングしているんですよ。
で、ランニング渋滞ができているんですよ。足踏みみたいになってるんですよ、信号で。
この人たちこれっだけ仕事に全力出してないんだなと思って(笑)
いや、俺それを見るたびに思うんですよ!
なんで、仕事終わってんのに、こんな何周も走れるんだろうって。
でも、俺らはそういうのないんですよ。へたばってしまって。それでもう…あれ?阿部さんは違ったかな?

―阿部さんは答えにくくなりましたね(笑)

阿部さん:僕はちょろちょろ、、おいしいものを…。
貴一さんは撮影が忙しいし、僕は前もってはいって時間があったので、
先斗町あたりで美味しい懐石料理とかマネジャーとふたりで、貴一さん頑張ってるかなあ、なんて言って食べてました。

―監督、お二人の様子がちょっと違うみたいですけど(笑)

監督:いや、阿部さんのそういう話は初めて聞きました。
朝スタジオに入ってくると、俺は何も食べてない、みたいな顔して入ってくるんですよ。
で、中井さんは、ほんとにストイックな方で外にも出ないし。
で、主役の方がこういう感じなので、京都でおいしいもの食べれるかな~と思ってたんですが全く引きずられて…

中井さん:なんで俺のせいになってるんですか!行ってくれていいんですよ。

―まあ、召し上がってらっしゃらないんで、監督もそう思われたんですよね。
そういう意味では、京都ではあまり思い出が無かったと、いうことで…(笑)
さて、主役の金吾さんを支える妻・セツ役の広末涼子さん。
またこれが、女性からみてもいじらしいというか、とてもいい女の人というか…。広末さんとのご共演はいかかでしたか?

中井さん:もともとすごい明るい方なんですよ。
それで、時代劇もそんな本数やったことがないとおっしゃっていて。
僕が海外へ行くときに、飛行機で映画を観ていたら、広末さんが出てらっしゃる映画なんですけど、
そのワンカットが「あ、セツをやるならこの人だ」と思ったんです。
日本へ帰ってきて、どうしても僕が広末さんにお願いしたい、と監督とプロデューサーに申し上げたんです。
で、広末さんにお願い申し上げて、出て頂けないかと聞いたら、受けてくださって。
なんか、あの、健気というか日本女性の強さというか、
そういうのをピシッと広末さんが出してくれたんじゃないかなと思います。

―そうなんですね。きっとみなさんご覧になって、ひとつ大きく心を揺らすシーンになってると思います。
さあ、それでは『柘榴坂の仇討』をご覧になられるみなさんに最後の挨拶をお願いします。

監督:本当に日本人が持っていた、やさしさ、情愛など、
柘榴坂の仇討というタイトルですが『仇討』というよりは、
日本人でよかったなといういい部分を映画の中にたくさん含んでおります。
最後は阿部さんと中井さんのサスペンス感たっぷりのシーンもあります。
どうぞみなさん、ハラハラ、ドキドキしながら楽しんでいただければいいと思います。
今日はありがとうございます。

阿部さん:今日はありがとうございます。
今年50歳になったんですけれども、すごくいい作品に出会えたことを誇りに思います。
50代の出発点として、貴一さんと監督と、この日本が誇る時代劇に出れたことが、宝物になりました。
みなさんも今日なにか持って帰って、ぜひ、もしよかったら、まわりの方に伝えて頂けたらな、と思います。
よろしくお願いいたします。

中井さん:来月53歳になるんですけれども(笑)
わたくしも実はまだ、この映画を観ておりません。今のみなさんと同じ状態です。
そして、あと2時間経つとみなさんの方がこの映画をよく知っている人間になると思います。
私が今、あのシーンすごくがんばりました、と言ったとしても、
もしかしたらカットされてるかもしれないので言うのはやめておきます(笑)
ただ、ほんとに俳優たちが京都という時代劇のまちで、精神誠意、精一杯日本人の心を演じました。
阿部さんもおっしゃいましたが、本当に何かを感じて、帰っていただけたら幸せです。
それで、おわったあと、ごはんを食べるときに1時間でもこの映画の話をしてくださったら、
それが、スタッフ・キャストのすべての幸せだと思います。ごゆっくりご覧ください。
今日はありがとうございました。

柘榴坂の仇討

STORY
安政七年、江戸城桜田門外で大老の井伊直弼が襲撃され、彦根藩士・志村金吾は眼の前で主君を失ってしまう。一方水戸浪士・佐橋十兵衛は井伊直弼殺害後、俥引きに身をやつし孤独の中に生きていた。そして13年後の明治六年、金吾は最後の仇・十兵衛を探し出したが、皮肉にもその日「仇討禁止令」が布告された…。

☆メイン_(C)2014映画「柘榴坂の仇討」製作委員会
©2014映画「柘榴坂の仇討」製作委員会

CAST&STAFF
監督:若松節郎
原作:浅田次郎『五郎治殿御始末』所収 (中央公論新社刊/新潮文庫刊)
出演:中井貴一、阿部寛、広末涼子 ほか
配給:松竹
劇場:大阪ステーションシティシネマ ほか