【記者会見「アズミ・ハルコは行方不明」】笑いと毒、スリルと愛に満ち溢れた、青春ストーリー。

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MC:でははじめに、ひと言ずつご挨拶をお願いいたします。
蒼井優さん:8年ぶりの主演映画が もうすぐ公開となります。とても大切な作品ですので、どうぞよろしくお願いいたします!
松居監督:主演とプロデューサーとボクと同じ年で、同世代の人たちと、この時代の空気を切り取って作りたいなと思いました。宜しくお願い致します。

Q:アズミハルコを演じられててすごく自然体と思えました。アズミハルコのキャラクターをどのように作られましたか?
蒼井優さん:台本を読んだときに、これは自分の話なんじゃないかと思ったんです。自分の30年近い人生の中で負ってきた傷だったりとか空いてしまってる穴みたいなモノが、アズミハルコも同じように穴や擦り傷があるような感じがして、自分の話じゃないかと思ったんです。
なので、自分のなかにいるアズミハルコというキャラクターをカメラの前に置くように、今回はそこに蒼井優として何かを味付けしないように気をつけていました。

Q:真っ先にに思い浮かんだのが蒼井さんとのことですが、特別な思い入れがあったんでしょうか?
松居監督:小さいころ、、、小学生中学生の頃からテレビとか映画で蒼井優さんのお芝居を観ていて、普通の人とは違う、生命力があふれていてる人と思っていました。今回のこの映画をエネルギーが凄い映画にしたいと思っていた時に、同郷で同じ年ということもあって、蒼井さんにぜひ出てほしいと思っていました。
作品では、アズミハルコは行方不明になるけど、どんどんステンシルによって顔や存在感が増していくという、
ステンシルをみて「あ、アズミハルコが行方不明になるっていう映画なんだ」という個性というか、
蒼井優さんの顔は蒼井優さんさんでしかない感じがすごくあって、映画のなかに生きていて欲しいと思ってオファーしました。

Q:原作、脚本のどのあたりにひかれた?
蒼井優さん:原作は時系列がそのままなんですが、それを映画でグチャグチャにすることでエネルギーを生み出すという手法を使っていて、私は原作も面白いけど、そんな脚本台本にひかれたんです。
攻めの台本に対して自分たちがどこまで攻めきれるか、が試されているような気がしました。
プロデューサーと松居監督と主演と3人が同い年ということで生まれるパワーがある気がして、そのパワーが途切れない自信だけはあったので、作っていく上で大実験だなって思ったんですけど、その大実験が失敗に終わったとしても自分の映画人生においてすごく、失敗が素敵なものになっていくていう自信もあったので、今出来ることをやらせてもらいたいな、って思いました。

Q:原作の時間軸をシャッフルして時系列を変えていますが、これは脚本の段階から変えていたんですか?
松居監督:脚本に入る前のプロットの段階でその作業を始めていました。
小説で文字で読むと物語として面白いんですけど、実際に人物たちがスクリーンの中で行方不明になって、それを探す物語いうと「なぜ?どう行方不明になるのか?」という話にみられるんですよね。
なので映画をストーリーとして見るというよりも、大きな生き物のように育てたいなと思って、消えるハルコと、ハルコを探す中で消えたくなる愛菜の物語、これがだんだんお互いに近づいていって、ハルコと愛菜がどうなるんだ?という方向で感じてほしいと思って、それで時間軸を交錯させました。

Q:監督は男性なのに、女性のウザさとか底力、強さをすごく表現されてました。スタッフの意見もとりいれたそうですが、蒼井優さんといっしょにとりいれたんですか?

松居監督:脚本の段階で雑談しながら、アラサー女性の生き様を描きたいよね、と話していました。
原作にはないんですけど、ハルコと曽我がケンカする、ハルコが本当はどう思っているのかという大事なシーンで話したことは、かなり映画にとっては大きかったです。
リハーサルしているときに台本どおりに、すごく感情的にやっていただいたんですが、それってハタチの女の子の別れ際に見えそうだなって。アラサーの女子たちの映画を描いているっていう意味でいうと、ハルコは周りが見えていて、
そのなかで感情どおりに言葉を吐いたりしてこなかったから今こうなっているんじゃないか。だからもっとカッコ悪くしてほしいと話しをして、そこで感情と行動がちょっとズレていたりとか、そういうのを話した後に直してくれた蒼井優さんの芝居がすごく良くって、それでハルコはこういう人だって教えてもらえた感じでした。
蒼井優さん:私は逆に、セリフどおりの感情でしゃべっていたんですけど、ぜったい違うなって思って。
その時に松居監督が、言葉と感情のズレを、カッコ悪く、情けなく出してほしい。セリフもうまく出てこなくていいとおっしゃっていただきました。やってみたら、こんなにハルコが曽我に対してぶつけている言葉と、ハルコの中で流れている言葉が違うんだと思って、、、
私もあのシーンを演じてハルコの核ができて、映画にとってもご覧になった方にとってもハルコはこういう人間なんだって輪郭がはっきりるするシーンだと思うので。観た方によってあのシーンのハルコの言葉の奥にあるものが違って感じるという、すごく映画的な、、、文字ではかけない人間描写になったなっておもいました

Q:松居監督の演出について、他の監督との違いや印象はありましたか?
蒼井優さん:監督は、女性のことは100%理解できてるわけではないとおっしゃっていて、だから、好奇心をもってくれているのかな。
「女ってこういう時こうしますよね」ってことを、おしつけられることがなかったです。
松居監督:でも本当は、こう考えてこうだから、って言わなきゃいけないんですけど、監督としたら(笑)。
女性は分からないから、だから興味があったし、どの世代がどういう傷をおっているか気になるし、やりながら自分がアズミハルコになったり愛菜になったりして作ってたんですけど。
高架下のケンカのシーンも見てて、これではない気がするけど、でもじゃあなんだって伝えられないから。
でも結局それに命をふきこんでくれたのが役者の方でしたね。

Q:蒼井優さん、先ほど30年の人生の中で傷を負ったり穴があいてるとおっしゃってましたが、それなりに傷を負っているんですか?
蒼井優さん:そうですね人並みに出来ていると思います。
自分の顔から火が出るほど情けない、なんでこんなことを取材で話してしまったんだろうということもありますね(笑)。
プロもーションの取材をしていただくと、1日ずっと話しているので、インタビューハイになるんですけど、
その帰り道とかにあの対応ウケなかったなーとか思ったりするんです(笑)。

Q:映画では失踪する役でしたが、これまで失踪してやろうと思ったことありますか?
蒼井優さん:『フラガール』を撮っているとき、自分の経験値が浅かったのと、撮影とフラダンスの稽古との時間の配分が自分の思うようにできることではないので、それが一緒に踊る方たちに申し訳なくって、、、
あのときはなんどもホテルの部屋から真っ暗の福島の夜道を・・・と思ったことはありますね(笑)。

Q:出来上がった映画をみて、感想はありますか?
蒼井優さん:わたしたちはアラサーパートをやっていて、充希ちゃんのパートと女子高生のパートというのは、こういう撮影をしているよって話でしか聞いてなくて、、、。だからつながっているのをみたとき、こんなに色が違う映画を、しかも撮影は一緒にやってたから、こんなに現場でスタッフさん松居監督含めてスイッチを切り替えてやられていたんだなぁーとは観てて面白かったです。
充希ちゃんが愛菜という役を演じるのが不安そうで、愛菜が分からないってずっと言ってたんですけど。
わたしは今回の高畑充希ちゃんというのは、より好きな女優さんになりました。
愛菜というキャラクターは、台本読んだときからすごい難しい役だなあと思っていて、正直あたしじゃなくてよかった、自分が20代前半なら絶対やらない役で(笑)、すごい良いところに着地してるっていうか、凄い女優さんだなぁ、と改めて思いました。

撮影中に充希ちゃんは愛菜のキャラクターを分からないって言ってて、大丈夫かなって思って。話は聞いてあげられるけど、やるのは充希ちゃんだし、消化していくのは充希ちゃんだから。
でも絶対良い方向に進んでるんだろうなぁとは思ってたけど、ずっと充希ちゃんの芝居をみているわけにはいかないからそっとしておいたんです。
いざ二人のシーンをみたときに、私が声をかけて振り向いたときの充希ちゃんの表情が愛菜でしかなくって、
なんかもう心の中でガッツポーズが出ました。すごくうれしかったです。

突如、街中に拡散される、女の顔のグラフィティ・アート。
無差別で男たちをボコる、女子高生集団。
OL安曇春子(28)の失踪をきっかけに交差する、ふたつのいたずら。

『アズミ・ハルコ』メイン
©2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会

STORY
これは、アズミハルコの企みなのか?ハルコは、なぜ姿を消したのか?
突如、街中に拡散される女の顔のグラフィティアート。無差別で男たちをボコる、女子高生集団。ひとりのOLの失踪をきっかけに交差する、ふたつのいたずら。これは、アズミハルコの企みなのか?ハルコは、なぜ姿を消したのか?

地方都市の独身OL・安曇春子(28)の失踪事件の背景と行く末を、“アラサー、ハタチ、女子高生”の三世代の女の子たちの生き方を浮き彫りにしつつ描いた山内マリコの青春小説を、『アフロ田中』『私たちのハァハァ』の松居大悟監督が映画化。“行方不明の主人公”には『百万円と苦虫女』以来の単独主演となる蒼井優。そしてハタチ世代を代表する女子・アイナ役には、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』で国民的女優となった高畑充希。ドラマ「ゆとりですがなにか」で注目を浴びた太賀をはじめ若き才能が集結。今世紀を代表する新たな青春映画が誕生。

監督:松居大悟(『スイートプールサイド』『私たちのハァハァ』)
原作:「アズミ・ハルコは行方不明」 山内マリコ(幻冬舎文庫刊)
出演:蒼井優、高畑充希、太賀、葉山奨之、石崎ひゅーい、柳憂怜、国広富之、加瀬亮
配給:ファントム・フィルム
映画『アズミ・ハルコは行方不明』公式サイト
12月10日(土) よりシネ・リーブル梅田/T・ジョイ京都にて
12月17日(土)よりシネ・リーブル神戸にて