江戸の四季を通して自由闊達に生きる人々を描く、浮世絵エンターテイメントが公開!!

映画「百日紅～Miss HOKUSAI～」の公開を目前に控えた4月22日、原恵一監督のインタビューを行った。
この映画は、江戸時代に名をとどろかせた浮世絵師・葛飾北斎の娘・お栄を主人公にした作品だ。時は江戸時代、明治維新その先の文明開化が目前に近づいてはいるけれど、まだまだ江戸にはそんな雰囲気はなく町人文化が栄えていた。お栄は、父・北斎の元、自ら筆を執り父を助け、自身の作品も発表していた。江戸の四季を通して自由闊達に生きる人々を描く、浮世絵エンターテイメントが公開する。

・この作品を作るきっかけは何だったのでしょうか。
監督：杉浦さんの作品が好きで、いろいろな縁があって「百日紅」を撮ることになりました。Production I.Gの石川社長に会ったときに杉浦さんの他作品を持っていたのですが、石川さんから「杉浦さんの『百日紅』の企画を動かしたことがある」と言われまして。その後、石川さんから「『百日紅』をやらないか？」と声をかけられ、企画が決まりました。

・杉浦さんの作品の魅力はどんなところでしょうか。
監督：杉浦さんは独立峰みたいなものだと思うんです。他に比べる作家がいないという。漫画的な表現もそうだし、演出家としても優れています。そういうところに魅かれました。

・今作の主人公であるお栄のキャラクター作りについて教えてください。
監督：ただのぶっきらぼうな女じゃかわいげないな、と。色々な面を持った女性として描くべきだと思いました。乱暴な面と、片思いをして恥ずかしそうにする面と、悲しさも持ち合わせる女性にしたいと思いました。

・浮世絵師お栄と監督との共通点も多かったのではないでしょうか。
監督：浮世絵はアニメ作りに似ているんですよ。絵師が下絵を描いて、彫師がいて、刷り師がいる。コピーがなかった時代ですし、絵師が描いた絵は彫師が彫るときに亡くなってしまう。一つひとつの作業が失敗のきかないものです。プロ集団だったんだと思います。

・冒頭と最後のロックが印象的でした。
監督：ありきたりの時代劇にしたらおもしろくないと思っていました。杉浦さんの作品は江戸時代の人は本当にこういう生活をしていたんだ、というのがわかります。そういう人の営みを表現するのに、ロックを使うというのは早い時期に決めていました。お栄自身もロックな女だと思いますし。

・声優の選出については？
監督：早い時期にお栄には杏さんというのを決めていました。杏さんも知的で落ち着いていて、気さくで素敵な女性です。絶対にお栄役にはまると思いました。濱田岳さんは「はじまりのみち」で素晴らしい演技をしてくれました。

・最後にお栄の魅力について教えて下さい。
監督：彼女は魅力的でミステリアスな女性です。人前から姿を消し、どこに行ったかもわからないんです。姿を消した11年後に江戸から明治に変わりました。彼女は明治に変わった時生きていたのかな？そして生きていたとしたら、どんな絵を描いたのか。彼女自身、北斎の娘としての諦めと自負を持っていたんでしょう。いろいろな想像をかきたてられます。お栄は当時の働く女性です。今、働く女性は増えているのでお栄と同性代の女性にぜひ見てほしいと思っています。

本日はお忙しいところありがとうございます。

INTRODUCTION
この作品を監督したのは、『河童のクゥと夏休み』や『クレヨンしんちゃん』シリーズなど、オトナが泣けるアニメーション作家として評価の高い原恵一監督。自身が敬愛してやまない杉浦日向子の「百日紅」を初の長篇映画化。若くしてこの世を去った彼女が20代後半に描いた本作は、発表から30年あまり経った今もなお、傑作として多くの人に愛されている。
主人公の浮世絵師を演じるのは杉浦作品大ファンの女優、杏。父であり師匠でもあり葛飾北斎を松重豊、ほか濱田岳、高良健吾、美保純、清水詩音、筒井道隆、麻生久美子そして立川談春、と日本を代表する演技派・個性派の豪華キャストが結集。さらに入野自由、矢島晶子、藤原啓治の実力派声優の三人が脇を固める。活気あふれる江戸の街や人々、そして浮世絵の世界を現代に甦らせるために監督が初タッグを組んだのは、国際的に評価の高いProduction I.G。そして主題歌が、椎名林檎の「最果てがみたい」に決定。映画のラストを飾るにふさわしい、凛とした力強さに満ち溢れるのびやかな歌声で、本作の世界を見事に歌いあげている。
この超豪華な面々に海外からも高い注目が集まっており、早くもフランスやイギリスでの配給が決定。2015年、日本でも世界でも、＜百日紅＞がもりもりと咲き乱れる！

https://www.youtube.com/watch?v=dID4_ll-uUs